トモエブログ

きぐるみハードコア

彼女。 百合小説アンソロジーを聴きました(Audibleで)

Audibleが定額聴き放題サービスになり、まず本好きの下剋上を(Audible既刊14巻分まで)聴いた後、気になっていた裏世界ピクニックを全巻分聴いて、その流れで安達としまむらを聴いている途中、武田綾乃さんが参加しているという事で買おうと思っていた百合アンソロジー「彼女。」がAudibleで聴ける事を知ったので、安達としまむらをAudible既刊9巻まで読んだ後に聴きました。

 

先述の通り(?)、ぼくは、世間で言う所の「百合」的なモノが好きではあるんですが、「百合」とパッケージングされたものが気に食わねぇなぁという気持ちや、「「百合」が好き(という事をアイデンティティにしているよう)な奴」って、なんだか気に食わねぇなぁという思いもあって(ぼくは、だいたいの「「xx」が好き(という事をアイデンティティにしているよう)な奴」の事が気に食わないと思っているのですが……)、日常インターネット生活で百合という言葉を極力使わないようにしています。

 

それと、ぼくは人間の「恋」という感情を、とても動物的な感覚で信用ならないものだと思っている人間なので(「愛」は信じています)、「恋」の話にはあまり関心が無いという気持ちもあります。

 

だからなんだ、という話なんですが。

 

そんなこんなで自分の中で思う所もありつつ、「彼女。百合小説アンソロジー」を聴いたのですが、いや、総じてマジで良かったです。

 

「話が面白くて・好きで、良かった」、という意味では、武田綾乃さんの「馬鹿者の恋」と、円居挽さんの「上手くなるまで待って」が特に良かったです。

「馬鹿者の恋」については、ぼくが、武田綾乃さんの書く、こういう依存してくる女に依存している女!みてーなヤツが好きなので良かったです。

「上手くなるまで待って」は、完全に恋愛ってハナシではなくて、デカい感情が双方向で弾ければ百合だろってカンジの流れが心地よかったように感じました。個人的な話で言えば、ぼく自身、小説を書きたいと思っても小説を全然書けないという悩みを数年抱えている身であるので(他同様の理由いくつか)、かなり刺さったという面もあります。

それと、作品とは関係ないのですが、ぼくは円居挽さんの事を、「インターネットの人」と認識しているので、あまり作品に積極的に触れたくないなという気持ちを抱いていました(ぼくは、「作品は作者の上位の存在であり、下位存在である作者を理由に作品に対してマイナスの態度を取るのは心が弱い行為」という信念を持っているので、これはぼくの心が弱いためです)

 

「鑑賞体験が良かった」という意味では、 斜線堂有紀さんの「百合である値打ちもない」と、相沢沙呼さんの「微笑の代価」が特に良かったです。

どちらも、「こんなに感情を揺さぶらないでくれ~~!」となるような痛みを伴う感情情動運動を強いられながら、ズンと、みぞおちを殴られるような苦しさを押し付けられるような読書(聴)体験で、マジで良かったです。

ぼく自身、美容整形というもの自体を倫理的に間違った事だとは一切思ってはいないのですが、ルッキズムに囚われて整形手術を行い、更にそれが(周囲といった意味での)世間から好意的に受け取られる、というグロテスクさにとても苦しみを感じました。

ぼくは、「他人の土俵に上がったら負け」という価値観で生きているので、こういった話はとても苦しく感じます。

しかしながら、ぼく自身、ルッキズムという問題を自分自身の中で長い間消化出来ていないので、この点についても苦しさを覚えます。

詐欺女装自撮りを趣味にしている人間が、この話の女の子の事をとやかく言えるのか、という、自問もあります。ううぅぅ~~~~~ッ。

「微笑の代価」は、ある意味ミーム的な意味でベタな「死体を埋める百合」というヤツでありますが、とにかくベタな要素をヘヴィな味付けで濃厚に煮詰めて調理されたカンジが、とても、良かったです。林NTR(現:林Project)さんが発信元となったNTRにおける「脳破壊」というミームがありますが、動画等による脳破壊要素もあって良かったです。

本作とは直接関係無いのですが、ぼくは、交通事故のように出会う脳破壊的描写によって精神的なダメージを負うが好きなのですが、「NTR」とパッケージングされた作品ではまず間違いなくそういった類のダメージを受ける事が無いので、良かったです。

これも本作とは直接関係無いのですが、ぼくは以前上記のような意味でNTRモノが好きだったのですが、ある時期から、「自分の恋人・配偶者が他人と性交渉を行っていたからとして、それって、何も問題でしょ。自分の肉体の自己決定権は自分自身が持つで、それを、恋人関係や、あるいは法律上の契約で縛る事自体がおかしいのでは?」というような考えを持つようになったので、積極的にNTR好きという認識は無くなっていたのですが、いざ、こうやって物語上で改めて交通事故的ビデオレター(?)をされると、いや確かに、脳にキクな、という感覚があります。

アンソロジー全体がこの話で〆られる事で、全体としてパンチが効いていたという感覚になりました。

 

上記2つの話の間に挟まれた「九百十七円は高すぎる」が、めっちゃ軽い話だったのがなんだか良かったのと、アンソロジー全体の一本目「椿と悠」が、爽やかで甘酸っぱい話だったのも良かったです。二本目の「恋澤姉妹」は、「何……?!」と思いましたが、アクセントが効いていて良かったです。

 

 

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