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きぐるみハードコア

【読んだ本】デヴィッド・グレーバー「民主主義の非西洋起源について:「あいだ」の空間の民主主義」

デヴィッド・グレーバーの「ブルシット・ジョブ」を読んだ後、「アナーキスト人類学のための断章」と「資本主義後の世界のために──新しいアナーキズムの視座」を読み、「負債論」を読んでいる途中ですが、負債論が物理的に読みづらい(分厚く重いため、移動中に読む事が出来ない)事もあり、後から読み始めた本書を先に読み終えました。

 

本書で行われているのは、既存の「民主主義」という言葉の解体、あるいは相対化。「民主主義」というものの起源を、国家や公権力といったものから離れた場所。アナキズム的な場所に求める事によって、「民主主義」というものが、古代ギリシアのアテナで発明されたものであるという神話や、代表性共和国に過ぎない国家が「民主主義」を名乗る事が当たり前に受け入れられている状況に対して、明確にノーを突きつける内容でした。

デヴィット・グレーバーという人に対して、あまり詳しいというワケではないですが、「ブルシット・ジョブ」というワードの創出や、ウォール街占拠運動における「99%」というワードのチョイスについても、既存の体制や仕組みに疑問を投げかけてアジテートするような言葉の使い方が絶妙だなと思っていて、本書では、「民主主義」という言葉自体を使って、そういった既存概念グラつかせアジテートが図られていたのが面白かったです。

 

ぼく自身、代議制民主主義国家体制が当たり前のように「民主主義」と名乗っているのはおかしいと思っているので、内容については、概ね「そうだよなぁ……!」と思いました。

 

それと、付録の、マルセル・モース、およびフランスにおけるMAUSSの運動についてのテキストがとても面白かったです。