トモエブログ

きぐるみハードコア

【読んだ本メモ】メラニー・ジョイ「私たちはなぜ犬を愛し、豚を食べ、牛を身にまとうのか:カーニズムとは何か」「現代思想 2022年6月号 特集=肉食主義を考える」

・肉食についての本が読みたかったので、「私たちはなぜ犬を愛し、豚を食べ、牛を身にまとうのか:カーニズムとは何か」を読む。

・「カーニズム」という単語に対して、正直、あまり馴染みが無い単語だと思っていたけれど、著者自身による造語である事を知って、なおかつその言葉が現在ある程度広く使われている事を知って、面白いなと思う。造語によって、他者の常識的な考えや既存の考えを変えさせようという試みは、面白い。

・「どうして動物を愛しながら、動物を食べる事が出来るのか?」という問い掛けについて、自分自身は正直な所、基本的に動物が好きではなく、オブラートに包まない言い方をすれば、「生き物苦手」な人間なので、いまいちピンと来なかった。いまいちピンとは来なかったけれど、常々、犬や猫といった愛玩用家畜が可愛がられ、命を大切にされる一方、食肉用家畜の命が顧みられない状況、というのはおかしいと思っているので、その点については、その通りだと思う。

ヴィーガニズムとカーニズムの関係性が、フェミニズムと家父長制との関係性に結びつけて論じられていたのが興味深かった。戦略として上手だと感じた。

・「肉食を正当化する3つのNの心理(正常・自然・必要)」という概念は、面白いなと思った。なるほど、と思うのと同時に、もしもぼくが悪い思想人間であれば、この概念を悪用してしまうな、と思った。例えば、男女差別を推進する反動的な思想を広める際に、この「3つのN」を持ち出して、人間社会に肉食が必要なように、男女差別もまた必要なものである、と論じるような……。

・その流れで、「現代思想 2022年6月号 特集=肉食主義を考える―ヴィーガニズム・培養肉・動物の権利…人間-動物関係を再考する」を読む。

・一番最初の「【討議】 なぜ私たちは肉を食べることについて真剣に考えなければならないのか」が、内容が濃くて面白かった。

・3つのNに加えられた、4つめのN「nice!(美味しい!)」。

・戦前の沖縄には、各家庭で豚を育てる文化があり、その文化が沖縄戦によって破壊されてしまった、という話は知らなかったので面白かった。また、その沖縄の養豚場での体験記が面白かった。

・ひとまず、ピーター・シンガーの「動物の解放」を読んでみようかなと思う。