トモエブログ

きぐるみハードコア

【読んだ本】雨宮淳「あなたを陰謀論者にする言葉」と、自分自身の体験、インターネットなど

ぼくは一年半ほど前まで、陰謀論的なものだとか、明らかに非科学的なものを信じる人たちの事はいくらでも馬鹿にしても良いと思っていました。

しかしながら、「ビハインド・ザ・カーブ」という地球平面説についての映画を観(て、落ち込んだり)たりだとか、現代思想21年5月号の特集『「陰謀論」の時代』を読んだりだとか、白人至上主義的大手WEBサイト「ストームフロント」設立者の息子デビッド・アイクがその考えを改めるに至った経緯についてのエピソードなどを知り、自身のそういった態度というものは良くなかったな、という反省をしました。

(反省はしました&あらゆる領域で陰謀論的なものが跋扈する状況に憂いつつも、心の中ではそういった物事を面白がっているという気持ちもあります)

 

雨宮淳「あなたを陰謀論者にする言葉」という本の存在については、前々から知っていて、いつか読もうかな~~~と思っていたのですが、少し前に、「ファンタジーランドーー狂気と幻想のアメリカ500年史」を読んだ流れで読みました。面白かったです。

(「ファンタジーランド」の中では、アメリカがどのようにして、虚構と現実が混ざり合う幻想国家ファンタジーランドになってしまったのか、という事が描かれましたが、「ファンタジーランド」というのはアメリカに限った現象ではなく、それが、普通の人間社会の状態ではないのか?というのがぼく自身の考えです)

 

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「あなたを陰謀論者にする言葉」と、自分自身の体験、インターネットなど

本書の内容としては、日本における、オカルトやスピリチュアル、自己啓発マルチ商法等々諸々といったものが陰謀論的なものへ繋がっていく歴史的な経緯を追っていくものです。

先述した「ファンタジーランド」の中において、「いずれ日本などの国々もアメリカの後を追ってしまうのではないか」という事が書かれており、ぼくは「いずれ後を追うも何も、それが普通の人間社会の(略)ではないのか?」などと思ったりもしましたが、「あなたを陰謀論者にする言葉」で言及されるトピックの多くはアメリカから輸入されたものであり、まあ、確かにアメリカの後を追ったといっても良い状況だなと思いました(「いずれ」の部分に対して疑問符はつきますが)

 

ぼく自身、中学あたりまでオカルト的なものを本気で信じていたという事もあり、本書の90年代後半~00年代辺りの項目については、懐かしいという思いもありました。

ちなみに、ぼくは小学1or2年生(1997~98年)の時に漫画「ザ★ドラえもんスペシャル」の二巻でノストラダムスの大予言というものを知って以来、1999年の7月を恐怖し続けていました。ぼくの誕生日は8月なのですが、99年の6月頃には、誕生日プレゼントで貰える事になっている「マリオゴルフ64」を貰う事無くこの世界が終わってしまう事を儚んで、寝床で母に泣いたりもしました。

ノストラダムスの以前に、「2012年に人類は終わるのか……?!」という事も思ってもいましたが、当時のぼくにとって、2012年はそれなりに未来の事だったので、それまでに楽しい事をしていよう……とも思っていました。

本書で語られている通り、90年~00年代辺りのテレビ番組にはオカルトや心霊関連の番組がとても多く(我が家では好んでそれを観ていました)、普通に「アポロ11号捏造説」「911陰謀説」といったものも公共の電波で発信されていました。

そんな影響を受けて、当時のぼくは、そういった物事を半ば本気で信じていたという事てす。

それと、小学校高学年当時は純粋なガンダム少年だった事もあり、「ニュータイプ」的な、所謂第六感を身につける訓練というものも行っていました。

他にも今思うと恥ずかしくなるような、色々な事を中学あたりまで本気で信じていました。

 

そんなぼくも、いつしか陰謀論的なものごとをインターネットで馬鹿にするような人間に成長(?)した、というわけです。

 

インターネット、といえば、本書で語られていない部分で、ふたばちゃんねるにまつわる項目があっても良かったのではないかな、とも思いました。

Qアノンにまつわるトピックでは様々な媒体で名前が挙げられる「4ch」ですが、「4ch」の元サイトとも言える画像掲示板「ふたばちゃんねる」と陰謀論の親和性については、本書に限らず、あまり語られていないように感じられます。

 

ぼく個人の認識として、ふたばちゃんねる内で陰謀論的な色が濃くなっていったのは、アニメ「けものフレンズ」監督交代にまつわる一連の騒動だったと思っています。

・断片的な事実らしいものを組み合わせ、点と点を線で結び、「確からしい物語」を集団で描いていく。

・「たつき監督」という正義の勢力が、KADOKAWAや製作委員会といった闇の勢力に虐げられている。

けものフレンズプロジェクトは、若手女性声優を反社会勢力に斡旋するためのプロジェクトである(とされている)。

等の流れは、Qアノンとトランプ元大統領にまつわる陰謀論的流れと非常に類似しています。

こういった下地があった事で、2020年のアメリカ大統領選後のふたばちゃんねる内の一部が、アメリカインターネットにおけるQアノン的なトランプ支持の熱狂に包まれたのではないか、と思っています(下地、という意味では、ふたばちゃんねるがオールドスクール的なネット右翼的空気が強い掲示板である事も大きいだろうと思っています)。

ふたばちゃんねるについて、ぼくはヲチ的な目的で閲覧する程度の物事しか知らない・体験していないので、詳しい人がいたら教えて下さい。

 

インターネットと陰謀論、といえば、本書が発刊後の出来事なので当然言及されていない事ではありますが、ロシアによるウクライナ侵攻後に生じた、プーチンを光の勢力的なものとみなし、明らかに事実と反した物事を信じながらロシア侵攻を支持する人々(俗にプーアノンとも呼ばれますが)なんかには、面白がるような気持ちも起こらず、非常にうんざりさせられました(というぼく自身の体験です)。

 

 

【追記】

この記事の内容を考えている途中の2月13日。株式会社ゆにクリエイト/ライヴラリ所属タレントとしてデビューした女の子の動画を観てみたら、活動内容がオカルト・陰謀論との事だったので、かなり、悪い笑いが出てきました。

www.youtube.com

 

おわり