ぼくには、江衛子さんという仮名の配偶者が居ます。
「妻」と表現しないのは、ぼく自身の思想故と、ぼく自身が富野かんとくのファンなので(かんとくのエッセイなどでは、自身の配偶者の事を「亜阿子」さんと表記している)、その影響です。
以前は、自身が既婚者である事をあまり積極的に記載していなかったのですが、ぼくはインターネットに真面目人(んちゅ)であり、インターネットストレートエッヂ(自作イデオロギー)を実践してもいるので、「インターネットで既婚者である事を隠すようにしているのは、不誠実なのでは?!!」と思うに至り、それ以来は積極的に表記するようにしています。
(ただ最近は、「既婚者」であるという事に重きを置くのはどうなんだ?という気分にもなってきています)
そんな、江衛子さんと居酒屋で飲んでいる時、
「実は……」
と切り出され、
「最近、生活を切り売りするというか……私達の普段のやりとりをイラストで……」
というような事を言われました。
「エッ?! ”夫婦エッセイ”……?!」
と、ぼくは突然の事に、笑ってしまいました。
ぼくと江衛子さんは普段、まぁまぁ「ほのぼの夫婦エッセイのようなやりとり」をしばしば日常的に行っています。
その状況を客観的に鑑みて、以前から、「夫婦エッセイ漫画を書いて一発当てるしかかないっしょ!」などと、冗談のように言ってもいました。
(江衛子さんは、インターネット内外を問わず、複数の表現活動を行っており、その中に、「イラスト」というものもあるので、それを前提としたものです)
そんな前提があったので、突然の事で驚きはしましたが、即座に状況を理解し、驚きよりも、面白さの方が勝ってしまいました。
夫婦エッセイ漫画(?)の登場人物になってしまったっ……!(?)
その後、どんなエピソードがインターネットでイラスト化(?)されて発表されたのか、などの確認や、今までにあったやり取り等でインターネット受けしそうな話のネタ出しを行ったりしました。
仲良しエピソード的なものが、結局の所ウケが良いようです。
(「アレは? ぼくの女装がバレた時のエピソード」
なども提案しましたが、それは却下されました。それはふたりの関係性の面白さではなくて、ぼく単体の面白エピソードだろう、という話でした。)
その話をしていた&した後に思ったのが、
「フィクション化された自分がインターネットのどこかに存在している、という状況は面白いな」
という事でした。
江衛子さんが描く夫婦エッセイの中でのぼくは、おそらくはよくある夫婦エッセイ漫画の夫役で、女装もせず、メスホルも喰っておらず、着ぐるみも着ず、ドールさんとも生活していないような(もしかしたら、その他様々な活動もしないような)、そんな「キャラクター」だろうと想像します。
ぼくは、人間よりもフィクション上のキャラクターの方が存在としてメタ/上位であると思っているので、自分が、そのような「キャラクター」になっている、という状況が面白いなと感じました。
(勝手に配偶者間の関係性をインターネット上でコンテンツ化されるのは不義理ではないか……?という話になるのかもしれませんが、ぼくは特に気にしない&不義理という話で言えば、勝手に配偶者がメスホルを喰い続けている事を知らされる方が不義理だと思います)
(ちなみに、元々江衛子さんとはインターネット上で繋がっておらず、後日改めてインターネットで「夫婦 エッセイ」等のワードで検索をかけたりしましたが、それらしいものは発見できませんでした)
そんなわけで、世の中には夫婦エッセイコンテンツが数多溢れていますが、数多溢れている、という事は、「いつの間にか夫婦エッセイコンテンツの登場人物になっていた」人間も数多発生しているはずで、ぼくも、どうやらその一人になっている事を知って面白くなってしまった、という話でした。
(おわり)